仕事依頼のコツ 上手なやり方9選としてはいけない下手な方法

仕事の依頼を受ける立場として、「依頼の上手な人だなぁ」と感心するような方もいるし、「ここの仕事は次回は断ろうかな」と思う場合もあります。

そこで、私の体験をもとに「仕事の上手な頼み方」と「してはいけない外注の使い方」についてまとめました。
いるんですよ実際に!
「ついついあれもこれもしてあげたくなる依頼主」
「途中で打ち切りたくなるような依頼主」が(^^;)

体験と言っても小さなデザイン会社でのお話ですが、他の仕事でも、どんなビジネスにも共通している基本的なことも多いと思います。
また、この内容は社内で他の人に仕事をお願いする場合も同じように役立つのではないでしょうか。

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仕事依頼のコツはビジネス拡大に必須

この章は、ちょっと固いお話になりますので、スルーして次の章に進んで頂いてもいいですよ(^^)/

仕事を他の人に頼んだり、外注を使うのは事業を拡大するのに必須だと思います。
また、社内での仕事でも、他の部署や他の社員にお願いすることが上手にできる人と、ダメな人では業績が変わってくるのではないでしょうか。

人に頼むより自分でやった方が早い

確かに人に頼むより自分でやったほうが早いことが多いのは事実だと思います。
他の会社や外注先の業者に依頼すると

・予算がかかる
・思い通りのものができない
・時間がかかる
・やりとりが面倒だ

そんな理由から自分(自分の会社)でやった方が早いと思うのは無理もありません。
社内の場合も予算以外のことはすべて当てはまるでしょう。

でも、本当にそうでしょうか?
確かに短いスパンで考えれば、自分や会社内でした方が早いのですが、長いスパンで考えれば圧倒的に外注を上手に使っている会社の方が業績を伸ばしているのではないでしょうか。

社内でも上手に仕事を頼める人は間違いなく仕事のできる人だと思います。
係長から課長、部長と役職が上がれば上がるほど、仕事を指示することが増えるでしょうから…。
言い換えれば、役職が上の人ほど仕事内容が他の人に仕事を頼むことにシフトしていくはずです。

安いコストで最高のパフォーマンスを手に入れる方法

うちの会社であれば、デザインデータを作るだけで、実際の印刷や製本はすべて外注しています。
なぜなら印刷機は安い物でも数百万円~数千万円以上する時代ですので、それらを自前で用意するには相当の資金力が必要だからです。

今はネット上で様々な印刷サービスを見つけることができますので、安い価格で数億円もするような最新設備での印刷ができるのですから使わない手はありません。

ただ、外注する場合にはちょっとしたコツが必要です。
それぞれの外注先にも得手不得手がありますし、個性があります。
また、大手の会社で発注のすべてがネット上で完結する場合もあれば、相手が中小の会社で、担当者とやりとりをして仕事を進める場合もあります。

ネット上のサービスであれば次の2つ程度を押さえれば最高のパフォーマンスを実現できます。

・たくさんのサービスから品質や価格のマッチするところを探す
・外注先のサービスを上手に活用する

もちろん、担当者とのやりとりが必要な場合は相手の人とのコミュニケーションが必要になります。
ここで仕事の質を高め、効率を良くしてコストパフォーマンスを図るには、仕事の依頼が雑ではダメで、次のポイントを押さえる必要があります。

私がデザインの仕事を引き受ける場合の例を挙げてみます。

✔ 納期と価格を押さえる
・見積もりを取って価格を決め、いつまでに仕上げるかの納期を設定します。
・仕様を細かく定めることで後々のトラブルを防ぎます。

うちのデザインの仕事であれば、金額は〇〇円、納期は〇月〇日、用紙はA4サイズで、ツヤのあるコート紙で、厚さは110kgのものを使用。
両面カラーで印刷し、右開きの巻き三つ折り、部数は2,000部…という感じで、外注の際に必須です。

✔ どのような成果物や結果を期待するのかを伝える。
・誰に何を伝えるものなのか。

これもデザインを例にすると、子ども、大人、あるいは高齢者と対象者が変われば、使うフォントやその大きさ、漢字とひらがなのバランス、色使い、イラストや写真選定などすべてが変わってきます。
そのため、出来上がったものを誰に何のために使うのかを最初に押さえることはとても大切です。

ここではデザイン作成から印刷物に仕上げることを例にしましたが、これらは他の外注内容にも当てはまるでしょうし、社内において他の部署や他の社員に頼む場合も大切になってくると思います。

仕事依頼の上手なやり方8選

実際のお客様で、ついついあれもこれもしてあげたくなる依頼主の経営者の方を思い浮かべながら、彼の上手な頼み方のポイントを整理してみます。

①外注先は下請けではなく共同作業者

うちに仕事を依頼してくるクライアントの中で圧倒的に依頼の仕方が上手な人は、飲食店やゴルフ練習場などたくさんの事業を展開しているやり手の経営者です。
今現在は部下の社員が依頼してきますが、以前その社長さんが直接依頼してきた頃のお話です。

手広く事業を展開している方にも関わらず、まったく偉そうにしていません。
よくありがちなお金を払うのはこっちなんだからという態度ではなく、良いものを作るために協力してほしいという姿勢なんです。

この、「依頼主と下請け」「発注者と単なる業者」といった気持ちが感じられない姿勢こそ大切で、これが言葉遣いに始まってスケジュールや進め方など全てに出てきます。

②依頼の完成までゆとりのある納期

彼の場合、突発的な急ぎの仕事もあるのですが、ほとんどは納品の期限にゆとりがあります。

そのため、資料を収集したりアイデアを集めるなど十分な準備時間を取ることができます。
また、仕事を進める上で、互いに十分な検討時間を取ることができるので、出来上がりの質が高まります。

良い仕事をするためには、ゆとりのある納期はとても大切です。

③出来上がりのイメージの共有ができている

彼と仕事をしていると、「今度、新しいお店を出したいんだけど、そこのメニューブックを作ってほしい。」という話に続いて次のようなことを話してくれます。

・和風居酒屋で女性に人気のあるお店にしたい
・男性客もターゲットだが、男性だけよりは女性にせがまれて一緒に来店するようなお店
・客単価は周辺の居酒屋よりは高めだが、料亭などよりは安く設定

こういう話をたくさん聞くほど、彼のこういうものを作りたいというイメージをこちらも共有できます。
そして何よりも、こんな話を聞けば聞くほど思いが伝わってくるので、作るメニューブックのイメージがどんどん湧いてくるんです。

④参考資料が用意されている

デザインの場合は、文字の書体や大きさ、部分的な色使いなどは指定できても、全体の雰囲気やデザインの印象のように言葉では言い表しにくいこともたくさんあります。

もちろん他の業界や会社内における依頼内容でも、言葉で表現しにくい場合も多いことでしょう。
そんな時に威力を発揮するのが資料やサンプル、参考例です。

彼からの依頼の場合

・「これが今まで出してきたDMだけど…」そう言って数十枚のDMを出してくれる
・「うちは初めての取り組みだけど、他のお店がやったものでこんなものが…」と言って他店のサンプルを用意してくれる

こういう場合がほとんどです。
ですから、こちらが提案したときに「いやいや、そうじゃなくて!」と言われることがありません。

⑤提案に対する第一声が褒め言葉

多くの場合、こちらからプランやデザイン案を3つ作成して提案するようにしています。
そして、それを彼に見せると必ずと言っていいほど褒めてくれます。

・「いいねぇ」
・「そうそう、こんな感じのものがほしかったんだ」
・「なかなかやるねぇ」

単純な私はその言葉で調子に乗ってしまいます(^^;)

もちろん、その後は率直な考えを言ってきます。
「このB案を元にして、ここのフォントはC案のものを使って、ここの色は…、ここの写真は…」
こんな感じで細かくいろいろと注文は出ますが、こちらの3つの提案をすべて認めて、いいとこ取りをしているので、まったく嫌な感じがしないんです(^^)/

つまり、ただ口先だけの社交辞令で褒めているのではなく、本心から提案を認めて褒めていることが大きなポイントになっています。

⑥依頼した仕事の逆戻り指示をしない

彼は多くの場合、仕事の逆戻りをしません。

要は「これで進めてください」と言った後に「やっぱりもう一度ここを見直してほしい」というように、前に戻って修正する場面がとても少ないです。

家を新築することを例にするなら、壁にクロスを貼り始めてから「やっぱり間取りを変更したい」と言わないということです。
さすがに家を建てるときにそんな客はいないと思いますが、私共のデザインのように、いつでも戻すことができる仕事内容の場合は結構ありがちです(^^;)

⑦指示が的確なので行き違いがない

「この写真をもう少し大きくして」とか「この文字をもっと右に移動して」という言葉は、こちらが良かれと思って修正しても、「大きすぎるよ」とか「それでは右に移動しすぎでしょ!」という行き違いになることも多々あります(^^;)

彼の場合は、「この写真を上の文字列の幅に合わせて拡大」「この文字は右に1cm移動」というように具体的でとてもわかりやすい指示を出してくれます。

もちろん、すべて数値で表したり具体的に指示でるわけではありませんが、可能なところだけでも具体的な指示にすることで無駄なやりとりが極端に減ります。

⑧自分のミスを率直に認める

あるとき、納品したリーフレットの一部に間違いがありました。
その時に彼はこう言いました。
「最後の原稿をこっちで確認したんだからこのままでいいよ。気にしないで!」

何度も校正をしてもらうのはミスを無くすためですが、それでも稀に見落とすことがあります。

そんな時に、「こっちの原稿がこうなんだから、すぐに直してもう一度印刷しろ!」と言う人も多い中で、彼のように率直に「自分の確認ミス」と言ってくれる方はそう多くはありません。

ですから、潔く「これは自分のミスだ」と言われると、
「いやいや、いただいた原稿と違うのは作成ミスなのでこちらで修正して再印刷しますよ」
思わずそう言ってしまうんです(^^;)

⑨その結果、〇〇になったよ

納品後にその経営者に会うと、必ずと言っていいほど次のような声を掛けてくれます。

・「あのチラシの反響が結構あったよ」
・「この前作ってもらったDMのお陰で〇〇店で新規客が増えたよ」
・「この前のメニューブック、なかなか評判良いよ」

もちろん、反応があまり良くなかったということもありますが、良い悪いに関わらずこういった事後報告的なお話を聞くと励みになりますし、次の仕事に生かすことができます。

仕事を依頼する時の9つのコツ

①外注先は下請けではなく共同作業者
②依頼の完成までゆとりのある納期
③出来上がりのイメージの共有ができている
④参考資料が用意されている
⑤提案に対する第一声が褒め言葉
⑥依頼した仕事の逆戻り指示をしない
⑦指示が的確なので行き違いがない
⑧自分のミスを率直に認める
⑨その結果、〇〇になったよ

この9つ全てをクリアする必要はありませんが、この中の1つでも多くのことができると、きっと
仕事依頼の上手な人になることでしょう。


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仕事依頼でしてはいけない下手な方法

先ほどの経営者の逆を行くのが下手な仕事依頼の方法になります。

✔ 私はお客、あなたは業者

そういう気持ちがあると、言葉遣いがていねいでも、どうしても高飛車な態度になるのではないでしょうか。
「打合せをしたいので〇月〇日の〇時に来てください。」
ピンポイントで指示されるとキツいのですが、その通りに行ってみると、電話で簡単に打合せできる内容の場合はガッカリします。

社内の場合であっても、役職の上の人が仕事を振ってくるとむげにはできないのですから、その上に横柄な態度をとられてはやり切れないでしょう。
依頼する場合は、前述の「一緒に〇〇を作り上げたいので協力してほしい」、そんな気持ちを持つことが大切だと思います。

✔ 明日までにこれやって!

社内であれば、部下だって自分の仕事があります。
それを考慮しない仕事の振り方はNGです。

土曜日の夕方に仕事を依頼してきて「月曜の午前中にほしい」と言われると「一体いつ仕事をすればいいの!」と思ってしまいます。
たとえ業者であっても、部下のスタッフであっても相手の都合を考えるゆとりがほしいですね。

✔ できたものにケチを付けるな

「〇〇の雰囲気で作ってほしい」と漠然とした依頼に対して、こちらがいくつかのパターンを提案しても、「そうじゃなくて、もっと〇〇の雰囲気で!」と何度もだめ出しをされることがあります。

そういう方に限って事前に十分な資料等はなく、こちらの提案にいちいちケチを付けます。
仕事ですし、お金を頂くので頑張りますが、制作意欲が少なくなっていくのは明かです(^^;)

✔ 褒め言葉よりはあら探し

ボランティアではないですから褒め言葉がなくたってまったく問題はありません。
提案に対しての修正意見を元に淡々と仕事を進めていきます。

ただ、いちいち「これでは訴える力が弱いね」とか「ここの色なんとかならないの」といったあら探しをされるよりは「この色、いいねぇ、でも形はもう少し…」と言ってもらった方が、きっと良いものができます。

デザイナーだって人間ですから(^^;)
もちろん、デザインだけでなく、他のあらゆる仕事に共通していますよね。

✔ このデザイン、やっぱり元に戻して!

こちらが複数提案をした後に、「そうじゃなくてこんな感じで!」という例を示されることがあります。
こちらの力不足でしょうが、「考えがあったら最初から教えてよ!」って思わず心の中でつぶやきます。

数回の校正を経て「もうそろそろ完成かな…」そう思っていると、
「やっぱり最初のデザインに戻して、それで色は〇〇、形は…」と振り出しに戻ることがあります。
もちろんお客様の満足のいくように努めますが一気にモチベーションが下がってしまうのは事実です(^^;)

✔ そう言われてもよくわからない(^^;)

指示がすべて「もっと〇〇な感じで…」と抽象的というか雑なのは困ります。
そういうお客様に限って、修正しても「そうじゃなくて!」となることが多いです(^^;)

そして、お客様のミスであっても、こちらに再印刷を求めたりします。
以前、表紙の一部に間違いが見つかった冊子がありました。
明らかに依頼主のミスなのですが、作り直しを要求してきます。

その時は、うちが直接受注した仕事ではなかったため、間に入った業者を立てて再制作をしましたが、うちが直接受けた仕事なら拒否しましたね(^^;)

仕事依頼のコツ 上手なやり方9選としてはいけない下手な方法のまとめ

仕事ですし、報酬をもらう立場なので態度にできるだけ出さないようにお客様のご希望にそって作成を進めています。

でも、上手な依頼をしてくる人と下手な依頼しかできない人では絶対に出来上がりに差が出るでしょうね。

さらに、うちの場合はこちらを見下したり、面倒なことを要求してくるお客様の場合は、それ以降の見積額を少し上げます!
まあ、そういうお客様な少ないですけどね(^^;)

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